名字の言

〈名字の言〉 2023年4月16日  青森県では、ようやく桜が満開になったと耳にしたが、先日、都内ではヤマブキの花が咲いているのを見た。

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青森県では、ようやく桜が満開になったと耳にしたが、先日、都内ではヤマブキの花が咲いているのを見た。実際に目にした“山吹色”の、生命力にあふれた色合いに圧倒された▼ふと思った。――桜やヤマブキに限らず、この季節に花を咲かせる木々は“もしや今年は春が訪れないのでは?”などとは全く疑っていないだろう。だから冬の風雨に打たれても、黙々と開花の準備に徹することができるのではないか、と。咲く花々に感動するのは、その美しさばかりでなく、そこに“生き抜く力”も見るからに違いない▼ある女子学生部員は小学生の時に心のバランスを崩し、その後、病も患い、高校まで登校できたり、できなかったりという歳月を送った。それでも彼女は“自分の可能性を諦めない”と、自宅で懸命に勉強した▼多感な時期。数々の楽しい学校生活が制限されても、心は屈しなかった。“私にも勝利の春は来る”という希望が彼女を支えた。健康を取り戻した後年、入隊した学会の鼓笛隊は、大切な「自分の居場所」ともなったという。彼女は今春から国立大学の理学部で元気に学んでいる▼冬のままの四季はない。人生も同じである。人それぞれに咲くべき時がある。冬は必ず春となる。(城)