宮﨑駿氏が原作・脚本・監督の映画「君たちはどう生きるか」が、第96回アカデミー賞の長編アニメーション賞を獲得した。戦時下で母親を亡くした少年が、不思議な世界に繰り出す冒険劇だ▼タイトルは、吉野源三郎の同名小説に由来する。小説が出版された1937年は、日中戦争が勃発した時。日本が“争いの時代”へと向かう中で、吉野は「人がおたがいによい友だちであるような」ヒューマニズムを、次の世代へ遺そうとした▼宮﨑監督は以前、「子供たちに『この世は生きるに値するんだ』と伝えるのが根幹になければならないと思ってきた」(読売新聞2013年9月7日付)と。これまでも、同監督の作品には「生きろ。」「生きねば。」などのキャッチコピーが躍った。未来に希望を見いだそうとする“生への叫び”を感じる▼仏法では「衆生所遊楽」と説く。私たちは楽しむために生まれてきた、との意味だ。現実には試練に直面し、苦悩することもある。だが、「強い心」があれば決して負けることはない。その苦闘の先に真の「遊楽」はある▼やまない雨はない。雲の上には常に太陽が輝く。このたくましい楽観主義で、足元から自他共の幸福と平和の連帯を創造していくのが、創価の生き方である。(積)