名字の言

〈名字の言〉 2018年7月10日  サッカーW杯はベスト4が出そろった。日本は2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出。

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 サッカーW杯はベスト4が出そろった。日本は2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出。強豪ベルギーに惜敗したものの、ファンの心に刻まれる名勝負を繰り広げた▼西野監督が帰国後の記者会見で一つのエピソードを紹介した。予選突破を決めた後のミーティングで、ある選手が「ブラジル」と声を発した途端、涙で言葉を詰まらせたという。前回(ブラジル)大会の大惨敗。選手たちは、あの瞬間から「4年後(ロシア)のリベンジ」を誓い、全精魂を傾けてきた。皆の思いを代弁した彼の涙は、チームの結束を一段と強めるものになった▼ベルギー戦後、監督は選手たちに語った。「倒れこんだ芝生の感触、空の色を忘れるな、居心地の悪いベンチのお尻の感触を忘れるな」と。この悔しさもまた、チームの新たな遺産として、4年後につながるに違いない▼勝負の厳しさは、人生も同じだ。時には挫折があり、苦悩があり、葛藤があるかもしれない。その一つ一つを乗り越えた先に、喜びがあり、充実がある。その積み重ねの中に新たな勝利への軌道がある▼過去から現在への「一つの物語」の終わりは、現在から未来への「次の物語」の始まり。我らも人生の主人公として、「今」を懸命に生き、未来の勝利を切り開きたい。(差)