新社会人であろう。真新しいスーツに身を包んだ若者の姿が、通勤途中で目に付く。初々しい姿を見ると、こちらも新鮮な気持ちになる▼本年2月時点での大学生の就職内定率は91・9%(厚生労働省発表)。全体的に、仕事に就きやすい状況にあるといえる。しかし、実際に働き始めると理想とのギャップに悩む人も多いのでは▼元伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏もそうだった。仕事の内容が気に入らず、入社3カ月で辞めようと思った。大学の先生に相談すると、こう言われた。「仕事を全然分かっていない。入り口だけを見て、それがずっと続くと思っているが、そんなことはない。仕事は奥が広くて深いんだ」。以来、職場の先輩の励ましもあって仕事を続けられたと、本紙のインタビューで語っている▼転職が当たり前の今とは状況が違う、と思う人もいるだろう。しかし、ここで重要なのは、仕事の内容というより仕事の捉え方だ。仕事を単なる「生活の手段」ではなく「人間としての成長や喜びを得る場」と捉えてこそ、その価値は広くて深いものとなる▼御書には「御みやづかいを法華経とをぼしめせ」(1295ページ)と。職場は信心の修行の場であり、自分を高めてくれる舞台である――このことを改めて胸に刻みたい。(駿)