駐日コロンビア共和国大使館を訪れた際、大使館前で銅像を見た。「南米解放の父」シモン・ボリバルの像である▼300年にわたる植民地支配からの独立を求めた戦いは1812年、祖国のベネズエラで始まった。ボリバルは司令官に任命されたものの、仲間の裏切りに遭い、亡命を余儀なくされる。だが、来るべき勝利を目指し、亡命地で祖国解放のための構想を練った▼翌年、スペイン軍に勝利し、祖国に新たな共和制国家が誕生した。しかし、その翌年には戦いに敗れ、再び亡命。共和制国家も崩壊する。このように、ボリバルの闘争には何度も失敗があった。そのたびに決然と立ち上がり、新たな勝利を収めた。最初の戦いから12年後、ついに彼は南米5カ国に自由をもたらした▼古今東西の歴史が示すように、偉大な事業の道程にも、必ず思うにまかせぬ、苦難と嵐の時がある。目先の出来事に翻弄されることなく、「不屈の心」で挑戦を続けた人にのみ、勝利の未来が開かれることを歴史は教えている▼御聖訓に「いまだこりず候」(御書1056ページ)と。世界広布という遥かなる長征を続ける私たちの道程もまた、何度でも立ち上がる挑戦の連続だ。この「負けじ魂」で前進したい。信心とは「不屈」の異名である。