作家・山岡荘八氏の小説『高杉晋作』の連載が本紙で始まったのは56年前の8月のこと。連載は2年続き、64年(昭和39年)12月に完結した▼『高杉晋作』の執筆当時、山岡氏は他紙で大長編の新聞連載を抱えていた。50年(同25年)から18年間続いた『徳川家康』である。「余話」を含め、連載回数が4725回に及んだ小説に、氏が託したテーマ――それは「人間革命」であった▼『随想 徳川家康』には「地上から戦争を無くするためには、いったいどのような処方によって、どのような人間革命が必要なのか」と記している。その問いには、人類平和への希求とともに、平和を開く根本の思想こそ「人間革命」であるという氏の強い思いがうかがえる▼『高杉晋作』が完結した直後、65年の本紙新年号から始まったのが、池田先生の小説『人間革命』の連載である。以来53年。『新・人間革命』を合わせると、連載回数は『徳川家康』を超え、きょうで7961回。それはまさに、寸暇を惜しんでのペンの闘争だった▼「一人の人間革命」を起点に「人類の宿命転換」を目指す人間革命の運動が、地球を包む時代を迎えたのも、師の激闘あればこそ。本年の活動も下半期が始まる。限りない感謝を胸に、私たちも師の行動に続きたい。(芯)