「復興のスピードの違いは、お金や行政の力などではありません。『人と人のつながり』の違いです」。世界の被災地で復興状況を調べている研究者の話を、かつて小欄で紹介した▼被害が小さいから復興が速いわけでも、被害が大きいから復興が遅いわけでもない。復興の力を引き出すのは「人と人のつながり」――この事実は、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などを取材した経験からも納得できる▼西日本豪雨から2カ月を迎える。8月、被災地の復興拠点の一つ、愛媛県の宇和島文化会館を訪ねた。館内には支援物資とともに、県内はもちろん、全国の同志からの“励ましのメッセージ”が掲げられていた▼「信心で越えられない難など断じてない 乗り越えた人が皆を救えるのだ!! 私の原点になった激励です」「試練は人を強くします」とは、原発事故で今も避難生活を続ける福島のメンバー。宮城県気仙沼の友は「同苦いたします」「今は、希望・前だけを見て、自分をほめて、ほめて、いたわってください。必ず、大丈夫です!!」と▼「夫れ木をうえ候には大風吹き候へどもつよきすけをかひぬれば・たうれず」(御書1468ページ)。相手への思いは距離を超え、友を支える強い力となる。支え合う心から希望は生まれる。(川)