名字の言

〈名字の言〉 2018年4月12日

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学会の座談会に参加するのはいいが、人前で発言するのは苦手――こういう人は少なくない。ただ、自分の思いを口にすることで、自分の環境が動きだすこともある▼兵庫で日本酒の原料となる酒米を作る婦人。昨年2月、「いつか、わが家の日本一の山田錦で日本一のお酒を造りたい」と皆の前で発表した。もちろん、彼女も家族も酒造りの経験はない。あくまでも夢▼今春、その夢が実現した。昨年収穫した山田錦から、華やかな香りが広がる大吟醸酒が生まれた。実は、彼女の夢を聞いた友人が造り酒屋を何軒も訪ね、希望通りの酒を造る杜氏を探してくれたのだという▼「はたから見ると順風満帆に見えるかもしれませんが、何度、目の前が真っ暗になったことか。でも不思議ですが、自分の力ではどうにもならない時ほど周りが助けてくれる。怖いぐらいです」。こう彼女は笑うが、信心根本の人で、地域からの信頼も抜群。連合婦人会会長や消費者協会会長など、多い時は26もの役を任された▼御書に「心の思いを響かして声を顕す」(563ページ)と。どういう自分でありたいのか。どういう人生を送りたいのか。「心の思い」を口に出すことで人生の軌道は明確になる。その思いの強さが自身を変え、周囲をも変えるエンジンとなる。(川)