名字の言

〈名字の言〉 2018年4月19日  “ひふみん”の愛称で親しまれる加藤一二三氏。

“ひふみん”の愛称で親しまれる加藤一二三氏。将棋のプロ棋士として当時の史上最年少だった14歳7カ月でデビューし、昨年、77歳で引退した▼60年以上も第一線で活躍した加藤氏にも、なかなか勝てない時期があった。悩み抜いていると、先輩棋士から一枚の色紙を手渡された。そこには「潜龍」との文字が。龍はいったん空へ舞い上がれば、どこまでも飛翔していく。その日のために“今は、じっと力をためて潜む時だ”との励ましだった▼氏は“ありのままの自分を肯定してくれた”と感じ、自信を取り戻した。その後、名人位など五つのタイトルを獲得。通算対局数2505局は歴代1位の記録となった(『鬼才伝説』中央公論新社)▼たった一言の励ましが、人生を大きく変えることがある。宮崎の男子部員は3年前、30歳の時に脳梗塞で倒れ、左半身にまひが残った。くじけそうな心を支えてくれたのは「あなたにしか果たせない使命がある」という母の言葉だった。奮起した彼は、リハビリを兼ねて絵画に挑戦。先日、3カ月をかけて仕上げた作品が、県美術展の準特選に選ばれた▼励ましは、形でも、回数でもない。言葉に込められた思いの深さが相手の心を揺さぶる。「心こそ大切なれ」(御書1192ページ)の御聖訓を深く拝したい。(誼)

Translate »