名字の言

〈名字の言〉 2017年10月29日

スポンサーリンク

かつて映画が無声だった頃、日本の映画館には映像に合わせて場面の状況などを名調子で語る「活動弁士」がいた。その第一人者の一人が、徳川夢声氏である▼後にラジオ番組「宮本武蔵」の朗読でも人気を博し、“話芸の達人”として名をはせた氏が「話の目的」を三つに分けて紹介している。すなわち①意志を伝える②感情を伝える③知識を伝える、である(『話術』白揚社)▼日々、私たちが実践している仏法対話や同志への激励の場面にも参考になろう。相手に伝えるべきは――「この信仰で共に成長していきたい」という「意志」。「学会活動は本当に楽しい!」との、実体験からにじみ出る「感情」。そして、仏法哲理という幸福を開くための「知識」だ▼さらに氏は「良き話をするには、良き心をもっていなければなりません」(前掲書)とも。対話に必要なのは、かしこまった言葉でも、飾り立てた言葉でもない。誠意を込めた、血の通った言葉であってこそ、意志も感情も知識も、相手に真っすぐ届く▼日蓮大聖人は「声仏事を為す」(御書708ページ)と仰せである。幸福の連帯は、何よりも声の力で広がる。信仰で磨いた心を、わが「声」に込め、晴れやかな創立の月へ向け、生き生きと語らいの輪を広げていきたい。