名字の言

〈名字の言〉 2017年2月11日

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 創価学会の青年平和会議議長会が広島で行われ、原爆資料館を訪れた(5日)。その敷地内では今も発掘調査が続く。溶けた牛乳瓶、被爆した瓦など、72年間眠っていた生活用品が掘り出される。「市民の日常を一発の原子爆弾が奪ったんです」。案内した壮年の声に、一行は耳を傾けた▼戦争の悲劇の歴史を持つドイツ。同国では、ナチス関連の遺産を保存し、積極的に公開している。学校教育でもユダヤ人迫害の歴史を伝えることに多くの時間をかけている▼メルフェルデン・ヴァルドルフ市にも、ナチスが建設した強制収容所があった。そこから400メートルの至近に立つフランクフルト池田平和文化会館では、遺品「コップの破片」を展示。地元の中高生が歴史を学ぶ場としても活用されている▼ガス室、飢餓、発疹チフス――収容所では、日常に「死」があふれた。精神医学者フランクルは『夜と霧』で、自身の苛酷な体験を世界に伝えた。「わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と」(池田香代子訳、みすず書房)▼記憶をつなぐ努力があってこそ、平和は築かれる。我らは第2代会長・戸田先生の遺した核兵器廃絶の叫び、地球民族主義を広げる誓いを新たにしたい。きょう恩師生誕の日。(子)