ヒロシマ・ナガサキの惨劇から72年。いよいよ3月27日から国連で「核兵器禁止条約」制定に向けた交渉会議が始まる。過去に核使用を禁じる明確な国際法はない。「核なき世界」の選択へ、人類は歴史的な岐路に立つ。条約制定の機運を高めたのは、核被害を受けた世界中の“ヒバクシャ”の声だった▼「核兵器は絶対悪」との第2代会長・戸田先生の叫びを原点とする創価の平和運動もまた、人間に寄り添い、蘇生させ、一人一人の声を世界に届けることを主眼としてきた▼広島で被爆した82歳の婦人は、あの惨劇の記憶を心の奥にしまって生きた。「おばあちゃんと一緒に幸せになりたいの」――女子部員の孫が長年、仏法の話をした。凍えた心が解け、2年前のある日、「分かった。やってみるよ」と入会。今、喜々として座談会に参加し、生命尊厳の哲学を学ぶ▼池田先生は断言する。「『核兵器禁止条約』を実現させる上で、最大の原動力となるものこそ、目覚めた民衆の連帯なのだ」。核兵器廃絶へ、その王道は、民衆の心にある良心と勇気を呼び覚ます地道な対話以外にない▼きょう第42回「SGIの日」記念提言が発表された。分断の波にあらがい、調和の新世界を築くために、その平和哲学を学び、民衆の連帯を強めたい。(子)