新幹線の車窓から、陽光に輝く稲穂が見えた。稲の穂が熟し、黄色に変化していくことを「黄熟」と書き、「あかり」とも読む。これが「秋」の語源との説もある▼稲は頭を垂れても倒れない。しっかりと地中に根を張っているためだ。この根を活性化させ、土の中に酸素を送り込むための作業が「中干し」。田を満たしていた水を全て抜き、表面の土を乾かす。水がなくなるという状況の中で、稲は強さを増す▼今年で入会62年となる大阪の壮年。18年前、がんを患い、喉頭を摘出した。襲い掛かる試練にも決然と立ち向かい、食道発声で声を取り戻した。87歳の今も広布の情熱を赤々と燃やす▼1956年(昭和31年)の「大阪の戦い」の陣列に加わり、「大阪大会」にも参加。確かな原点を刻んだ壮年が「これが宝物です」と、一枚の写真を見せてくれた。63年(同38年)に撮影された池田先生との記念写真。その裏には、師のつづった「前進」の文字が。壮年は「何があっても『不撓不屈』で前進する。これが私の誓いです」と▼御書に「秋のいねには早と中と晩との三のいね有れども一年が内に収むる」(411ページ)と。稲が黄金に輝くように、誓いに生きる人生は、それぞれの個性を生かしながら、まばゆい光彩を放つ。ここに信心の醍醐味がある。(芯)