名字の言

〈名字の言〉 2018年4月13日

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主人公のチャーリー・ブラウン、犬のスヌーピー……キャラクターが実に愛らしい米国の名作漫画「ピーナッツ」。世界中に愛読者を持ち、日本では本年を“上陸50周年”としている▼児童書のイメージが強いが、日本で初めて同作を翻訳した詩人の谷川俊太郎氏は「大人のためのマンガ」と主張する▼スヌーピーは、犬である自分の“欠点”さえも面白がる。心理学者・河合隼雄氏はスヌーピーのあり方を通し、「きのうも失敗、きょうも失敗、だけど、それにめげないで、むしろ、そういう自分をおもしろがっていけば、気も休まってきます。そういう力、才能があれば、人間は簡単にはくじけません」と述べた(『誰だってちょっと落ちこぼれ』河合隼雄・谷川俊太郎著、講談社)▼苦難と無縁な人生などないし、苦難自体が「不幸」でもない。「心が縛られた」状態が不幸なのだ。反対に、苦難に置かれた自分を客観視し、その意味を捉え返す力があれば、成長へのバネとしていける。宿命を使命に変える「人間革命」の生き方である▼仏法では「願兼於業」、つまり、菩薩は人々を救うために、自ら願って悪世に生まれると説く。苦難や宿業との戦いも、いわば自分で選んだ「役」。人生の名優として勝利への劇を演じていこう。(速)