名字の言

〈名字の言〉 2017年4月13日

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 海あり山あり。広大な福島県は気候の変化に富み、桜の季節が長い。「宝の山」と歌われる磐梯山の麓に立つ福島研修道場には、池田先生が自ら植樹した三代桜がある。この桜は毎年、5月3日前後に爛漫の雄姿を見せる▼開花が早い遅いと気をもむのは人間の都合。環境の違いで、それぞれの木に咲くべき「時」がある。これは人の生き方も同じで、“開花の春”は一様ではない▼先日、総本部で行われた「うつくしまフェニックスグループ」(原発事故の影響で福島県内外に避難した友)の首都圏大会で、母子がリレー体験を発表した。大震災から3年目。小学校3年の次女が体調を崩し、学校に行けなくなった。母に心配を掛けまいと、小さな胸にしまい込んできた不安と恐怖の感情が噴き出したのだ。食欲がなく、座ることもできない娘を母が背負う。体重20キロにも満たない軽さに涙が止まらない▼母は「必ず健康にしてみせる!」と信心で再起を誓う。家族の愛情に包まれた娘は一進一退しながらも心身が安定し、今春、母子は笑顔で中学校の入学式に臨んだ▼語り終えた親子に拍手がしばらく鳴りやまなかった。同志も、この日が来ることを信じ、祈り続けてきたのだ。待ち望む時間が長いほど、功徳満開の春の喜びは大きい。(城)