名字の言

〈名字の言〉 2018年10月19日  数年前にギターを始めた友人がいる。全くの初心者で指が思うように動かない上、仕事が忙しく練習時間も満足に取れない。

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数年前にギターを始めた友人がいる。全くの初心者で指が思うように動かない上、仕事が忙しく練習時間も満足に取れない。もうやめようかと思っていた時、ある音楽家の助言を実践し、上達のコツをつかんだという▼助言は3点。まず基礎練習を反復する。次に自分の好きな曲を選んで練習する。そして最後に、自分の演奏を動画で撮影して見る。友人は「最初はちょっと恥ずかしいですが、自分でも驚くほどうまくなります」と▼優れた指導者や上手な仲間が近くにいればいいが、そうもいかない場合、この方法が極めて有効だという。人に見てもらうにせよ、動画を撮るにせよ、自分を客観的に見つめることが成長の近道といえるかもしれない▼身体の動きは映像で見ることができる一方、自身の内面を見つめることはなかなか難しい。だが、そうした自分の心を鏡のように映すものがある。それが「身近な他者」。仏法では家族や友人・職場など、自身を取り巻く環境は全て自分の生命の反映と捉える▼そして御本尊は人間の仏界の生命を映し出す「明鏡」である。「自分は自分」と他者と一線を引くのではなく、朗々たる唱題を根本に、人間の中へ飛び込んで自身の生命を磨き、新しい挑戦を始める。そこに限りない成長の道がある。(起)