きょう11月5日は「男子部の日」。この日の歴史をひもとくと、161年前の安政4年、吉田松陰が8畳の塾舎で松下村塾を始めている▼当時、城下町には多くの学者がいた。その中で、若者に与えた松陰の影響力は突出していた。彼の魅力について、牧口先生が自著『人生地理学』に記している。「吉田松陰はその半生を道途(旅)に費やし、足跡をほとんど全国に印し、これによって空漠たる政論(政治的論議)の横行する当時において着実なる見識を養成した」と▼松陰には、机上の空論をもてあそぶ姿勢など、みじんもなかった。どこまでも、行動また行動、挑戦また挑戦の中で養った“生きた見識”で、人を感化する先駆者だった。ゆえに、塾生たちは心底、彼を慕ったのだろう▼「青年は教えられるより、刺激されることを欲する」(ゲーテ)。若い感性は鋭い。先輩が“何を言ったか”以上に、“どう行動しているか”を敏感に見つめているものだ。だからこそ、手本となる大人は、絶えず自身の向上に努めたい▼御書に「日蓮さきがけしたり、わたうども二陣三陣つづきて」(910ページ)と。広布拡大の人材を育てる要諦は一つ。誰かではない。自分が動く! 自分が語る! 自分が「一人立つ」先駆者になることである。(誠)