社説

〈社説〉 海のプラスチックごみ問題 2018年9月16日 環境を守る連帯と行動を今こそ

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環境を守る連帯と行動を今こそ

 地球環境問題として、温暖化は喫緊の課題である。豪雨、台風などの激化につながるとの指摘もあり、さらなる対策を講じる必要があろう。
 もう一つ、注目を浴びているのは、プラスチックごみの問題だ。適切に処理されなかったプラスチックごみが、毎年1000万トンも海へ流れ込み(国連の推定)、漂い続けている。船舶航行の障害や観光へのマイナスとなり、生き物たちの生存をも脅かしているという。
 専門家によれば、海鳥が餌と勘違いしてプラスチック片を食べ、ひなにも与えて衰弱死させてしまったり、アシカやアザラシが、流された漁網で首が絞めつけられたりする事例が多く見つかっている。
 さらに、マイクロプラスチックの問題もある。波で砕けて5ミリ以下になった破片や、洗顔料や歯磨き粉に研磨剤として使われていた、直径1ミリ以下の粒状のもののことだ。これに海中の微量な有害化学物質が吸着し、生き物が食べることで、体内に蓄積されているのではないかとの懸念の声が上がっており、調査・研究が進められている。
 今年6月、カナダでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で、「海洋プラスチック憲章」が提起された。2030年までに、プラスチック包装の最低55%をリサイクルまたは再使用するといった意欲的な目標が盛り込まれている。
 日本は同憲章への署名を見送ったが、先月、「プラスチック資源循環戦略」の策定に向けて環境省の有識者会議がスタートした。積極的な議論の積み重ねに期待したい。
 暮らしの中でできることを「3R」で例示してみる。①ごみ発生抑制(リデュース)②再使用(リユース)③再生利用(リサイクル)の推進だ。
 ①長く使える買い物袋や水筒を活用し、レジ袋や清涼飲料水の消費を抑える②洗剤やシャンプーは詰め替え品を活用③飲み終えたペットボトルを洗浄し、ラベルを剝がすなどの一手間でリサイクルに貢献する――。ちょっとした心掛けの積み重ねが環境負荷の軽減へ大きな成果を生むことになる。
 池田先生とノーベル平和賞受賞者エスキベル博士により、本年発表された共同声明を振り返りたい。「世界の青年たちよ! 人類の重要な挑戦のために連帯し、自らの人生と、新しき世紀の歴史を開く建設者たれ!」。困難に打ち勝つ希望は、私たちの意志と実践の中から生まれることを忘れまい。