本年3月に開かれた世界青年部総会の冒頭、各国の約1500会場が双方向中継で結ばれ、各会場の同志と感動を共有したことは記憶に新しい。総会で活用されたのは、遠く離れた場所でも、複数の人がオンライン上で集えるビデオ会議のアプリ。働き方が多様化し、類似アプリが注目を集める。
世界第2位、日本の約26倍に及ぶ国土面積のカナダの同志にも、このアプリが活用されている。同国では全国幹部が各州に点在し、頻繁には集まれない。
例えば、東西それぞれの大都市であるトロントとバンクーバーは3000キロ以上も離れており、飛行機で5時間を要する。カナダ国内には六つの時間帯があり、連携を取り合う際は、時差への配慮も欠かせない。
ビデオ会議用のアプリを使えば、互いの表情を確認しながら、打ち合わせなどを進めることができる。特に、冬になると移動手段が限られる地域では、アプリを活用した集いなども行われている。
そして、広大なカナダの友が実際に集い合う場こそ、トロント近郊にあるカレドン教育文化センターである。各部で定期的に行う研修会では、ディスカッションや学習会を泊まりがけで実施。部を超えての開催や言語ごとの研修会も活発である。
そのため広い国土にもかかわらず、全土の友がそれぞれ仲が良く、先月の婦人部研修会では「久しぶり! 今どうしているの? ずっと祈っていたわよ。電気スタンドを持ち寄って、明け方まで語り合ったわね」「次に会う時、どれだけ広布が進んでいるか楽しみ」と、そこかしこで再会を喜ぶ声が上がった。
新会員に信仰体験や入会動機を尋ねると、カナダ以外の国や地域で入会した友も多く、創価の哲学が世界各地で語られ、仏法に縁する機会が大きく広がっていることを実感した。
グローバル化で国境の壁が低くなり、人や情報が活発に行き交う一方、異文化への偏見や排他的な考えを強める人々がいるのも現実である。そうした差異を超え、なぜSGIの友は深い友情を結べるのか。
ある新会員は「地区の方々が寄り添ってくれ、私の人生を真剣に考えてくれた。人種もバックグラウンドも違う人たちが、皆、私の可能性を信じるという点で一体だった。そこで、この哲学が本物だと感じた」と。
急速なグローバル化と情報化が進む現代だからこそ、確かな人間主義の哲学が、いや増して求められている。