名字の言

〈名字の言〉 2018年7月5日  介護の現場がリアルに描かれている人気漫画『ヘルプマン!』

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 介護の現場がリアルに描かれている人気漫画『ヘルプマン!』(講談社刊)。構想段階では介護職に対して“マイナスの印象”を持っていたと、作者のくさか里樹さんは振り返る▼だが全国各地の介護施設に足を運び、取材を重ねる中で、考えが変わった。強い使命感と熱意をもって被介護者に向き合う介護者。当意即妙の機転や心身を支える言動は芸術的ですらあった▼仕事は確かに大変だが、そこにはメディアが伝えるやるせない話ばかりではなく、喜びと感動と充実と輝きがあった。「現場には心を打つエピソードが山のようにある。“感動的な話を生み出さなきゃ”などと力む必要などなく、自然に感動できる題材が満ちあふれていたんです」と語った▼メディアの情報や人から聞いた話は、物事を知るきっかけにはなるが、それが全てと決めつけるのは早計だろう。伝える側の“フィルター”を通っているゆえに、こぼれ落ちてしまうものがある。自分の目で見て、自分の耳で聞き、自分の肌で感じる――これ以上に豊かな“情報”はない▼人もまた、会ってみなければ分からない。「一人」の中に、口に出せない苦悩や現代社会の課題もある。明日から「励まし週間」。“喜びと感動の現場”である友の元へ、勇んで足を運びたい。(鷹)