渾身の作品を投稿するも入賞できない。とはいえ、漫画家になる夢を諦め切れない。挑戦を続けた結果、ついに作品が入賞した。賞の名前は「もうひと息賞」▼その名の通り、大きな栄誉でなく“もう一息だから頑張れ”という賞だった。それでも「全ての迷いが消え、漫画家としてデビューしたいという事だけに私の青春の焦点が合った」――さくらももこさんの高校生時代のエピソードである(『ひとりずもう』小学館文庫)▼その後も応募を続ける中、編集者からの激励と助言に勇気をもらった。やがて、デビューを果たし、漫画『ちびまる子ちゃん』が大ヒット。「もう一息」との“エール”を追い風に、描いた夢を現実にした▼先が見えない宿命との戦い。夢や目標を追いかける中での挫折や葛藤。その途上で「もう一息」と声をかけ、「あと一歩」と一緒に進んでくれる友がいれば、どれほど心強いか▼池田先生は「一人を大切にし、『もう一歩』と前進し続ける所は、団結もより強固になり、それまでの労苦と困難を、すべて勝利と福徳に変えていくことができる」と。どこまでも“一人の一歩”を励まし続けよう。その先にある、自他共の栄光の道を確信して。凱歌の「5・3」まで、もう一息だ。(値)