小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉力走 二十八 2016年4月26日

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法悟空 内田健一郎 画 (5785)
いかなる団体、組織も、発展のいかんは、中軸となる幹部によって決まってしまう。
学会は、翌一九七九年(昭和五十四年)に「第七の鐘」が鳴り終わり、二十一世紀への新たな飛翔を開始する、重要な時を迎えようとしていた。だからこそ山本伸一は、幹部への指導、育成に、全精魂を注ごうと決意していたのだ。
彼は、岐阜、兵庫、福岡の三県合同代表幹部会に引き続いて、三重県の津市内で、草創の同志らと懇談会を開いた。ここでも、幹部の活動の在り方に言及していった。
「今日は、厳しい話になるかもしれないが、幹部として心しなければならないことを語っておきます。
幹部は、組織の上の方で号令をかけているだけであっては絶対にならない。何よりもまず、徹底して会員の方々とお会いすることです。どれだけ多くの人と会い、励まし、指導したかが、幹部としての実績です。
会えば会うほど、後輩は立ち上がる――これは、厳然たる事実なんです。
人と会うことは、一切の基本です。会って語り合い、心と心が通じ、共感し合ってこそ、団結も生まれます。人と人との触れ合い、結合のない組織は、死んだ組織も同然です。心が通い合うなかで、温かい人間主義の組織へと蘇生していくんです。
沖縄の、ある婦人部の幹部は、『足が鉄板になるほど歩くのだ』と言って、家庭訪問に徹しきり、理想的な広布の組織をつくりあげてきました。
また、東京・下町のある区長は、毎日、『聖教新聞』の配達員さんと、区内の学会員のお宅を回った。体の具合が悪い方、大変ななかで奮闘してくださっている方のお宅には、激励のメモを郵便受けに入れた。そして後日、今度は、ゆっくり語り合える時間に、個人指導に訪れた。それを続けるなかで大きな信頼を勝ち得ています」
人間は機械ではない。心が結ばれた時に力が生まれ、広宣流布の車輪は大きく回転する。

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