小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百十九 2018年8月16日

スポンサーリンク

 法悟空 内田健一郎 画 (6449)

 香港が中国に返還される五カ月前には、山本伸一は金庸に、「返還後も香港は栄え続けるでしょう」と述べ、これからは、経済だけでなく、「心の充足」も焦点になると語った。
すると、金庸は、強く訴えた。
「香港SGIをはじめ、SGIの方々には、ぜひ『精神の価値』『正しい価値観』を多くの人たちに示していただきたいのです」
香港の民衆の幸福と繁栄――二人の心は、この一点にあった。
伸一が、メンバーに訴え続けたのは、いずこの地であろうが、不屈の信心ある限り、“幸福の宝土”と輝くということであった。
日蓮大聖人は、「其の人の所住の処は常寂光土なり」(御書五一二ページ)と仰せである。
――一九九七年(平成九年)七月一日、イギリスの統治下にあった香港は、中国に返還され、歴史的な式典が行われた。
その祝賀式典のアトラクションには、香港SGIの「金鷹体操隊」も若さあふれる演技を披露した。また、同日夜の記念音楽会には香港SGIの各部の合唱団が出演した。
伸一は、旧知の江沢民国家主席と香港特別行政区の董建華行政長官に祝電を送った。香港のメンバーは、返還後の香港を「平和と繁栄の港」にとの決意を固め合い、二十一世紀という「第三の千年」へ飛翔していくのだ。
伸一は、九五年(同七年)十一月の香港滞在中、マカオを訪れ、マカオ大学で名誉社会科学博士号を受けたほか、マカオ市政庁を表敬訪問した。ポルトガル領であるマカオも、九九年(同十一年)、中国に返還されるが、マカオのメンバーも香港の友に続き、希望のスタートを切っていくことになる。

九五年(同七年)十一月十七日、アジア訪問から帰国した山本伸一は、そのまま中部・関西指導に入った。そして二十三日、関西文化会館で、全国青年部大会、関西総会を兼ねた本部幹部会が開催された。
その席上、SGI理事長の十和田光一から、「SGI憲章」が発表された。