小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百二十六 2018年8月24日

スポンサーリンク

 法悟空 内田健一郎 画 (6456)

 山本伸一のキューバ訪問以降、日本との文化・教育交流も活発に行われていった。
また、二〇〇七年(平成十九年)一月六日、キューバ創価学会が正式に宗教法人となり、その登録式が行われている。
アメリカは、対キューバ経済制裁を次第に緩和し、二〇一五年(同二十七年)に両国は国交を回復することになる。

一九九六年(同八年)六月二十六日、伸一は、キューバに続いて、パナマに隣接し、「中米の楽園」といわれてきたコスタリカを初めて訪れた。これで海外訪問は、世界五十四カ国・地域となった。コスタリカは、憲法で常備軍を廃止し、永世的、積極的、非武装中立を宣言している国である。
翌二十七日、伸一は、首都サンホセ市の大統領府で、ホセ・マリア・フィゲレス・オルセン大統領と会見したあと、メンバーとの交歓会に駆けつけるとともに、和歌を贈った。
「コスタリカ ここにも地涌の 友ありき
常楽我浄の 人生あゆめや」
二十八日には、中南米で初の開催となる「核兵器――人類への脅威」展の開幕式が行われた。これには大統領夫妻、ノーベル平和賞を受賞したオスカル・アリアス・サンチェス元大統領らが出席した。
会場のコスタリカ科学文化センターには、「子ども博物館」が併設されており、そこで遊ぶ子どもたちの元気な声が、式典会場にも響き渡っていた。スピーチに立った伸一は、微笑みながら語った。
「賑やかな、活気に満ちた、この声こそ、姿こそ、『平和』そのものです。ここにこそ、原爆を抑える力があります。希望があります。子どもたちは、伸びゆく『生命』の象徴です。核は『死』と『破壊』の象徴です」
席上、伸一は、「“核の力”よりも偉大な“生命の力”を、いかに開発させていくか」「“核の拡大”よりも強力な“民衆の連帯”を、どう拡大していくか」――ここに人間教育、民衆教育の重大な課題があると訴えた。