名字の言

〈名字の言〉 2022年6月16日  日本を代表する写真家で、かつて本紙でも連載を持っていた田沼武能氏。今月、93歳で亡くなるまでカメラを握り続けた。

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日本を代表する写真家で、かつて本紙でも連載を持っていた田沼武能氏。今月、93歳で亡くなるまでカメラを握り続けた▼写真家としての転機は、独立して多くの注文写真の撮影をこなしていた頃。師匠・木村伊兵衛氏から“頼まれ仕事ばかりでは、何も自分の仕事は残らない”と指摘され、写真と向き合う姿勢を見つめ直した。テーマを持つ大切さを教えられ、選んだのは「世界中の子どもたち」を撮ることだった▼世界には飢餓や紛争などに苦しむ子どもたちがいる。“次世代の家族をつくる子どもたちに住みよい地球を手渡していけるか”。そこに真剣に取り組む時代が来ていると感じた氏は、120以上もの国や地域を訪れ、子らの“生きる尊厳”を写真で伝えてきた(『ぼくたち地球家族』講談社)▼「すべての人を尊重せよ。しかし子供の場合は普通の百倍も尊重し、その汚れを知らぬ魂の純粋さを損なわぬよう努めよ」(北御門二郎訳)とは、文豪トルストイの言葉。地球の財産である子どもを守ることは、人類を守ることにつながる▼今を、そして未来を生きる人々が暮らしたいと思えるような世界をつくる。ここに世界広宣流布の実像がある。そのために今日も祈り、語り、励ましを広げよう。(竹)