名字の言

〈名字の言〉 2018年10月10日  今週末からプロ野球のクライマックスシリーズが始まる。一方で、女子プロ野球も熱い。

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今週末からプロ野球のクライマックスシリーズが始まる。一方で、女子プロ野球も熱い。“女王決定戦”となる日本シリーズでは、愛知ディオーネが優勝した(8日)▼同チームのエース・里綾実投手。2度の最多勝、4度の最多奪三振に輝くなどリーグを代表する選手だ。女子野球の日本代表でもあり、8月のワールドカップで日本を6連覇に導いた立役者である▼高校時代、投球フォームを改造し、かえって腕の振り方や球の離し方が分からなくなった。大学時代のある試合で、ストライクを入れようと四苦八苦する彼女に、監督が言う。「やるべきことは打者との勝負。どれだけ四球を出そうが交代を決めるのは監督だ」。その言葉で迷いが吹っ切れた。思い切り腕を振って投げると、驚くほどの速球がミットをたたいた。以来、自信を取り戻し、秘めた素質が開花する(「日本経済新聞」10月2日付夕刊)▼中国の古典「説苑」に「驥は自ら千里に至る者ならず、伯楽を待ちて後に至るなり」とある。優れた才能も、それを見抜いた人によって、初めて発揮されるとの意だ▼自分を認め、信じ、勝利を待っていてくれる人がいる――そう気付けば、自らの殻を破り、新たな一歩を踏み出すことができる。友の力を引き出す名伯楽でありたい。(朋)