名字の言

〈名字の言〉 2021年12月10日  大相撲九州場所で全勝優勝を飾った横綱・照ノ富士。

スポンサーリンク

大相撲九州場所で全勝優勝を飾った横綱・照ノ富士。新横綱になってから2場所連続の優勝は大鵬以来、59年ぶりの快挙である▼23歳で大関に昇進するも、ひざのケガや内臓疾患などで休場が続き、一昨年には序二段まで番付を下げた。大関経験者が幕下以下に陥落するのは、昭和以降で初めてのこと。引退を考えたこともあった。それでも「一人でも『頑張っているな』と思ってくれる人がいるのならば、その人のために、もう一度土俵に立とう」と決めた▼復帰後は序二段や三段目、幕下、十両で負けることもあった。そのたびに敗因を分析し、課題を見つけては「その分、自分はまだまだ強くなれる」と、稽古を重ねた末の快進撃だった(『奈落の底から見上げた明日』日本写真企画)▼苦難に直面すると、人は往々にして“なぜ自分だけが”と思いがちだ。自分のことしか見えなくなり、心も小さく縮こまってしまう。“自分以外の誰かのために”と行動を起こせば、心は大きく広がり、新しい可能性が開けてくる▼池田先生は「人の『生きる力』を引き出した分だけ、自分の『生きる力』も増していく」と。あの友のために――きょうも挑戦の一歩を。自他共の幸福に生きる中に、人生勝利の道がある。(誼)