「道理・証文よりも現証にはすぎず」(新1941・全1468)。会合でも、大きな励みになるのは信仰体験だ。信心の喜びと確信が友の胸に伝わり、勇気と希望が湧く▼都内のある地域の壮年部が毎週、開く集いもそうである。2月に地区部長となり、3月に弘教を実らせた壮年。昔の彼を知る人は、生まれ変わったような姿に目を見張った。9年前、持病が悪化し、同じ時期に両親も他界。自暴自棄に陥り、「この上ない生き地獄を味わいました」▼御本尊に唱題すると、学生部時代に学んだ、御書の一節がよみがえってきた。「たとえ、どんな煩わしいことがあっても夢の中のこととして、ただ法華経のことだけに専念しなさい」(新1481・全1088、通解)。困難と戦い抜いた池上兄弟に与えられた御文だった▼「この御金言を抱きしめてきました。“新しい自分をつくる時だ”“全ての悩みを乗り越え、広布の人生を貫くのだ”と、腹が決まりました。地域の同志も親身に支えてくださり、現在の自分があります。この恩は生涯、忘れません」▼体験に勝る説得力はない。困難を勝ち越えた体験の数々は、信仰の素晴らしさを伝えると同時に、同じ問題に直面した多くの人への最大の励ましとなる。(革)