「やはらかに/人分けゆくや/勝角力」。江戸中期の俳人・高井几董の句だ。相撲に勝った力士が、歓声に沸く花道を穏やかにかき分けながら去っていく様子を詠んだ▼各地で行われた本年の掉尾を飾る座談会。世界聖教会館の開館を自らの機関紙拡大で迎えた報告があった。未入会家族の学会理解が一歩進んだという喜びの声もあった。列島の津々浦々で、“創価勝利の年”を「わが勝利」で荘厳した歓喜があふれていた▼共通するのは、「自分自身の壁」を破り乗り越えたということ。人に勝つ以上に「自身の心」に勝つことは難しい。だからこそ喜びは格別である。御書に「強敵を伏して始て力士をしる」(957ページ)と仰せである▼学会の草創期、男子部の人材グループ「水滸会」の野外研修では、相撲大会が行われた。「押し相撲」が好きだった戸田先生は、先の御聖訓を拝し、“過酷な宿命という強敵に怯まず恐れず立ち向かってこそ、人間革命は成し遂げられる”と励ました▼相撲の極意は、「押して勝つこと」といわれる。人生もまた、引いたり、横に変化したりという策に走らず、立ちはだかる試練に、勇気を奮い起こして祈り、真正面からぶつかることで開ける。幾重にも意義深き広布の節を刻む明年へ、前進、前進、また前進!(燦)