「空に輝く星の如くきわめて多くの品物であふれている」――16世紀、ドイツ・フランクフルトの書籍市をたたえた、ある学者の言葉だ。活版印刷が発明された15世紀ごろから、同都市は各国の出版業者が集う書籍市で世界に名をはせた▼そこでは、あらゆる本が売られたという。16世紀後半の市の書籍目録には、計2万点を超える諸言語の書籍が収録されている。書籍市は欧州の出版産業の興隆を支え、学術と文化発展の力となった(『出版産業の起源と発達』J・W・トムプソン著、箕輪成男訳、出版同人)▼500年の歴史を超えて今も毎年秋、フランクフルトでは世界最大の書籍見本市が開かれる。SGIも今月、池田先生の著作など約180点の出版物を展示し、反響を呼んだ▼中東から来訪した出版社の社長は「紛争と隣り合わせで生きるわが国の人々は皆、平和を求めています。池田SGI会長の平和の哲学は、宗教や国の違いを超えて人々を結ぶものです。出版を通し、それを広く伝えたい」と▼インターネット全盛の現代でも「本」「活字」が持つ価値は変わらない。人間の人生には限りがあるが、本は時空を超えて永遠に残る。活字を通し、著者と「対話」できる幸せに感謝したい。27日から来月9日まで「読書週間」。(駿)