〈名字の言〉 2018年11月20日 　４０年間、風邪一つひかず、健康に自信があった漫画家の東海林さだおさんが、ある年、病で入院した。

４０年間、風邪一つひかず、健康に自信があった漫画家の東海林さだおさんが、ある年、病で入院した。その際、病棟で見て感じたことを回想している▼社会的立場のある人が入院し、生気を失っていく姿に、「つくづく地位とか権力、権威とかって作られるもんなんだな」。とはいえ、自身も楽観できない大病に動揺していた。その時、東海林さんを安心させたのは、医師が話す内容ではなく、言葉遣いや顔の表情だったという（『遺すことば』文藝春秋）▼ある医師が難治性の病を患った。名うての医師仲間もさじを投げる状態。落ち込む彼を見るに見かねた知り合いの学会員が、ドクター部員の壮年に“激励に行ってほしい”と頼んだ▼会う約束の日、彼が待ち合わせの無人駅に行くと、ドクター部の壮年は雪の中でじっと待っていた。誠実な姿に彼の胸は熱くなった。話を聞いた壮年は、「一緒に闘いましょう」と一言。その言葉の力強さに、“自分は治る”と思ったという。その後、治療も功を奏し、病を克服した彼は入会。現在、同じドクター部員として奮闘する▼御書に「一念の心・法界に徧満するを指して万法とは云うなり」（３８３ページ）と。心が変われば一切が変わる。友の心を支え、心を励ませば、苦難に負けない生命力が湧いてくる。（白）