名字の言

〈名字の言〉 2018年11月28日  「息子が大学に合格しました」と語る壮年部員に、お祝いを述べようとすると、「ただ困ったことに……」と遮られた。

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「息子が大学に合格しました」と語る壮年部員に、お祝いを述べようとすると、「ただ困ったことに……」と遮られた。聞けば、職場の業務縮小のほか、最近、高齢の両親との同居を始め、そこに学費の工面が……。だが壮年は意外な言葉を口にした。「これでますます面白くなってきました」▼壮年は続けた。「この苦境を信心根本に、どう乗り越えたかを息子に見せたいのです」。そうすれば将来、息子が思いがけない試練に直面しても、“あの時、両親は乗り越えた。だから僕も負けない”と決意するはずだ――そう壮年は信じている▼壮年はこの生き方を親の背中に学んだ。壮年の父の口癖は「家や土地ではなく、『信心』という財産を残すからな」だったという▼思想家の内村鑑三は、人間が後世に遺せる最大のものは「勇ましい高尚なる生涯」と訴えた。また、こうした生涯を遺すには、悪条件などの「反対があればあるほど面白い」とも。そして「信仰によってこれらの不足に打ち勝つことができれば、われわれは非常な事業を遺す」と断言した(『後世への最大遺物』岩波文庫)▼仏法は「煩悩即菩提」を説く。広布のための悩みは全てが仏の悩み。目の前の課題こそ、仏の境涯を開く最高の飛躍台となる。信心で勝つ人生は面白く、そして尊い。(城)