先月行われた教学部任用試験に向け、本社公式サイト「セイキョウオンライン」に開設した、教材の音声が聞けるページに多くのアクセスがあり、その大半はスマートフォン(以下、スマホ)からの利用だった。
国内のスマホの所持率は年々上がっており、東京では全体の約8割、60代男性も50%が所持しているといわれる(博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所)。
昨年10月にLINE社が15~59歳へ実施した調査では、「日ごろ、スマホでのみ、インターネットに接続する」と答えた割合は46%。以前に増して、スマホが広く生活に定着していることは言をまたない。
半面、スマホ関連の事故やトラブルにも注意が必要だ。
警察庁によれば、平成28年に発生した交通事故のうち、運転中にスマホの画面を見たり操作したりして起きた死亡事故は17件で、通話中の事故を上回る。運転中、歩行中の「ながらスマホ」は厳禁だ。
有害サイトや偽アプリの利用による、個人情報の漏えい事件も多発している。
ITジャーナリストの高橋暁子さんは本年1月に本紙で、スマホの安全対策として、①盗難・紛失対策はロックをかける②スマホにもセキュリティーソフトを③OSとアプリは最新に④信頼できるアプリのみ利用する⑤フリーWi―Fiはセキュリティーをチェック、の5点を挙げている。子どもの利用時は、有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング機能」の活用も有効である。
また、SNS(インターネット交流サイト)やゲームへの、若年層の“中毒症状”も、家庭や教育現場での深刻な課題だ。
日本初の「インターネット依存治療専門外来」を開設した樋口進さんは、生活の中で決めた目標への努力や、周囲との豊かな人間関係を築くなど、“現実生活の充実に目を向けること”が依存リスクを軽減する重要なポイントと指摘。さらに、家庭でのコミュニケーションを増やし、具体的な使用ルールを定めることも大切だという。
池田先生は、インターネットなどの情報技術の発展について、「『知識』へのアクセスがより簡易になり、多くの人々に開かれた時代であればこそ、その『知識』を正しい方向に生かしていく『智慧』を育むことが欠かせない」と語られている。
生活に欠かせない機器を安全に使用するために、賢明に使う智慧を磨いていきたい。