今年の「立秋」は8月7日。暦の上では秋の始まりで、きょう以降のあいさつは「残暑見舞い」となる。それから約2週間後の23日は「処暑」。残暑も峠を越し、暑さが収まるという意味だ▼今夏の酷暑からは、とてもそれを実感できない。それでも、2週間にして季節感を変える二十四節気を設け、天候の小さな変化を感じながら、暮らしを立てていくところに、人間の知恵を見る▼福島で本紙通信員を務める壮年部員。数々の場面を撮影してきたが、東日本大震災の直後は人にカメラを向けることができなかった。そんな折、旧知の青年部員と再会する。青年は言った。「津波で自宅を失った。でも手元にこれが残った。必ず苦難を乗り越える」。手に創価班バッジが光っていた。壮年は青年の誇り高い表情を厳粛な思いで写真に収めた▼以来、壮年はどんな小さな変化でも、復興を象徴するものであればシャッターを切った。がれきに咲いた花。花火大会の復活。釣り人が戻った海辺……。力作を本紙に載せて福光前進の姿を発信し続けた▼立秋、立冬、立春、立夏。季節の始まりを表す言葉に使う「立」の文字には「勇気をもって事をおこす」(広辞苑)の意味もある。勇気の行動はわが人生の四季を彩りつつ、周囲に希望を届けている。(城)