名字の言

〈名字の言〉 2018年3月18日

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春3月、各地で卒業式がたけなわだ。この時期、よく耳にするのは「ありがとう」の言葉。お世話になった家族や恩師、共に学んだ仲間に感謝を伝える声が聞こえてくる▼創価大学のある男子学生は、格別の思いで旅立ちの日を迎える。彼の母は女手一つで2人の子を育てた。家族のために身を粉にして働く母。多忙な中でも人を笑顔にするために走る母。一緒に過ごす時間は少なかったが、その姿は彼の誇りだった▼母が脳腫瘍で倒れたのは彼が高校2年の時。手術は成功したが大学1年の秋に再発した。末期だった。少しでも長く時間を共にしようと、彼は母のいる大阪へ夜行バスで何度も通った。彼の19歳の誕生日を見届けた翌日、母は尊い生涯を終えた▼悲嘆に暮れる彼を支えたのは学友だった。ある時は手紙で、ある時は何も言わず隣に寄り添った。「私にとって仲間は家族と同じ存在」。彼は“家族”への思いを胸に学び抜いた。卒業後は外資系コンサルティング企業に勤め、使命の人生をと誓う。感謝の人は強い。彼の姿がそれを物語っていた▼池田先生は「感謝の心があれば、わが使命に幸福への命を点火できる」と。人生には順風もあれば嵐もある。どんな時でも報恩の誓いに生き抜く限り必ず“勝利と幸福の春”は訪れる。(差)