法悟空 内田健一郎 画 (6201)
六日の午後、欧州研修道場では、山本伸一が出席して、ヨーロッパ広布二十周年を記念する夏季研修会が晴れやかに開幕した。
これには、地元フランスの百人をはじめ、十八カ国五百人のメンバーが集った。
伸一は皆と厳粛に勤行し、参加者の多幸とヨーロッパ広布の伸展を祈った。そして、マイクに向かうと、こう提案した。
「本日六月六日は、二十一世紀への飛翔を遂げる研修会が開催された日であると同時に、初代会長の牧口常三郎先生の生誕の日であります。この意義深き日を、『欧州の日』と定め、毎年、この日を節として、互いに前進を誓い合う記念日としてはどうかと思いますが、皆さん、いかがでしょうか!」
出席者全員が挙手をもってこれに応え、正式に6・6「欧州の日」が決定したのだ。
牧口は、伸一が入会する三年前に獄死しており、謦咳に接することはなかった。しかし、伸一は、恩師・戸田城聖を通して、その人格、信心、実践、教育思想について学んできた。また、牧口の著作を繰り返し読んでは、自身の大事な規範としてきた。
著書の中で牧口は、平和への道筋として、「軍事的競争」「政治的競争」「経済的競争」から「人道的競争」に入ると予見している。
伸一は、人類の平和のために、今こそ世界に、「人道的競争」への確かな潮流を創っていかなくてはならないと、決意を新たにするのであった。
夏季研修会では、記念植樹が行われ、さらに、体験談大会に移った。信心によって前向きな自分になり、病との闘いにも勝った西ドイツの女子部員の体験や、念願の音楽家として活躍するイタリアの男子部員の体験などが披露され、大きな感動が広がった。
いずれの体験にも、勇気と挑戦による境涯革命のドラマがあった。
信仰とは、“絶望”“あきらめ”に打ち勝ち、前へ、前へと進みゆく原動力である。その前進のなかで自身の生命は磨き鍛えられ、境涯を大きく開いていくことができるのである。