小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 十二 2018年4月7日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6342)

 日顕は、山本伸一の関西青年平和文化祭でのあいさつについても、「『日顕上人猊下』と言ったが、なぜ、『御法主上人』と言わなかったか!」と言うのである。
あの感動の文化祭を見て、青年たちをねぎらうどころか、わざわざ、このことを言うために伸一たちを呼びつけたのだ。嫉妬深いのか、本性をさらけだしたのか、いたずらに自分の権威を誇示するかのように威張り散らす姿に、ただ、あきれ果てるばかりであった。
しかし、広宣流布のために、僧俗和合していこうという伸一の姿勢は、いささかたりとも変わらなかった。

「今こそ、平和・文化の新しき創造を!」
四月二十九日、中部広布三十周年を記念して、七万人の青年たちが集い、第一回中部青年平和文化祭が岐阜県営陸上競技場で盛大に開催された。「曇り後雨」の天気予報を覆し、青空が広がっていた。
国連旗、創価学会平和旗、中部創価学会旗の入場、掲揚で幕を開けた文化祭では、華麗なる青春の舞が、躍動と歓喜の調べが、熱と力の団結の演技が披露され、人間共和の大絵巻が繰り広げられた。
これには、国連広報センターから、小田信昭副所長も出席し、来賓を代表してあいさつした。
「本日の文化祭を通じて、平和は遠い世界のどこかでつくるものではなく、この地で、私たちの周りでつくり上げていくものだという実感を強くいたしました。このことは、SGI会長の国連支援の精神に触れるものであり、強い感激を覚えました」
そして、この年は国連軍縮特別総会が開催される年であり、それと時を合わせての青年平和文化祭の開催に、国連の期待も大きいことを述べた。
「団結してこそ勝利は至る」(注)とは、ドイツの劇作家にして詩人のブレヒトの言葉である。平和という壮大な理想を実現するには、青年の熱と力の結集がなければならない。

 小説『新・人間革命』の引用文献
注 「連帯性の歌」(『ブレヒト詩集』所収)野村修編訳、飯塚書店