卷頭言
わが友こそ勇気の王者よ
寒風を突いて、祈り、走り、語り広げた、あの蒲田支部の「二月闘争」のさなか、同志と心熱く拝した一節がある。
「撰時抄」の「正像二千年の大王よりも、後世をおもわん人々は末法の今の民にてこそあるべけれ」との仰せである。
どんな輝かしい時代に、 どんな豪勢な大王と生まれるより、濁悪の世に無名無冠の民として、あえて苦労を背負いながら、妙法を唱え、広宣流布に生きることこそ、最極の栄光なのだ。
「末法の今の民」に無上の誇りと歓喜を教えてくださった御本仏と恩師への報恩感謝の心で、私たちは苦悩の庶民の輪に飛び込み、「共に幸福を勝ち取ろう!」と言い切っていった。
皆で壁を破り、一ヵ月の最終報告を終えようとする、まさにその時、「ちょっと待って。もう一世帯、 実った!」と地区担当員(地区女性部長)が息を切らせ、弾んだ笑顔で駆けつけ、
一支部で二百一世帯という劇的な拡大となったのである。
自らも途方に暮れるほどの宿命と戦いつつ、負けじ魂の信心と、ありのままの人間性で「もう一人、また一人」と幸の仏縁を結びゆく地涌の使命の群像が、わが創価家族である。
草創期、生活苦や病苦に立ち向かう学会員への悪口に対し、戸田先生は呵々大笑しながら、「それでは、あなたは悩める人何人救ったのですか」と切り返された。誰が何と言おうと、
法のため、人のため、地域社会のために、労苦を惜しまず献身する生命にこそ、民衆の王者の風格と福徳は光るのだ。
六十年前、 雪の降る欧州で、私は同志と試練の風雪にも勇んで進もうと語り合ったーー行動すれば、縮こまった心の世界が大きく広がっていく。勇気をもって、戦うぞと決意してぶつかっていけば、敵をも味方にすることができる、と。
恩師が宣言された「宗教界の王者」の勇気で、伸びゆく後継の王子王女に民衆王者の宝冠を託しゆこう!
師子王の
心たぎらせ
壁破り
民の笑顔の
道を開けや