【御書本文】
地頭地頭念仏者念仏者等日蓮が庵室に昼夜に立ちそいてかよう人もあるをまどわさんとせめしに阿仏房にひつをしおわせ夜中に度度御わたりありし事いつの世にかわすらむ、只悲母の佐渡の国に生れかわりて有るか(千日尼御前御返事p1313)
【通解】
地頭という地頭、念仏者という念仏者らが、日蓮の庵室に昼夜に見張りを立て、通う人を妨げようとしたのに、阿仏房に(食事などを入れた)櫃を背負わせ、夜中に、たびたび訪ねてくださったことを、いつの世に忘れることができようか。ただ日蓮の亡き悲母が佐渡の国に生まれ変わっておられたのであろうか。
【先生の指導から】
“わが母の生まれ変わり”とまで、讃えておられるのである。
大聖人を慕う夫妻の真心は、大聖人が佐渡を離れられた後も、いささかも変わらなかった。阿仏房は、老齢にもかかわらず、何度も御供養の品々を携えて、身延の大聖人を訪ねている。そして、夫妻の純粋な信心は、後継の子どもにも、そのまま受け継がれていったのである。