沖縄戦に動員された鉄血勤皇隊(男子学徒隊)の一人が、米軍の捕虜となる瞬間の写真がある。衣服は泥で汚れ、顔は恐怖でゆがみ、体中が震えているようにも見える▼将来ある10代の少年少女約2000人が学徒隊として動員され、その半数以上が落命した沖縄戦。親元を離れ、過酷な戦場で、男子は兵隊として、女子は看護要員として生きる日々。平和な現代から見れば想像を絶する世界だ▼1974年2月、沖縄・名護を訪れた池田先生は、高校生ら未来部員に「諸君が、戦争を体験した方々がお元気なうちに話を聞いて、その証言を立派な本にして後世に残してはどうだろうか」と戦争体験の聞き取りを提案。2年半後、反戦出版として形になった。この平和の心を伝える運動は現在も、展示・出版・講演会活動など青年の手で多角的に展開されている▼今月上旬、沖縄青年部では、平和文化祭を開催。中・高校生と青年たちが平和への誓いを込めて、歌やダンス、体験主張などを行った。訪れた来賓は「青年たちが平和のために考え、行動していることがうれしい」と語った▼戦争の悲惨さを語り継ぐことが、記憶の風化を防ぎ、不戦の潮流を支え広げる。きょう23日は「沖縄慰霊の日」。それぞれの“平和への挑戦”を始めたい。(結)