スポーツ選手、囲碁・将棋の棋士、音楽家などの世界で、「一流」と目される人には共通点がある。それは何があろうと“鍛錬のわが道”を、自信を持って突き進む精神力だといわれる▼人は不調に陥ると、環境に振り回されがちだ。これまでのやり方とは違った、何か特別なことをしなくては道は開けないと焦り、あれこれと手を出し、結局、自分自身を崩してしまうことも多い。一流は“悩む”ことはあっても、“迷う”ことはない。不安を紛らすだけの小手先の解決策で迷走せず、信念の努力を積み重ね、逆境をはね返すのだという▼ある婦人部員は激動の半生を送った。大学生の息子を亡くし、自身も病と闘った。人にだまされ、商売が傾いたこともある。だが、どんな苦境にも、「まず題目!」の姿勢は不変だった▼「苦をば苦とさとり楽をば楽とひらき苦楽ともに思い合せて南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ」(御書1143ページ)のままに、信心根本に一切を変毒為薬した婦人は、確信と感謝を語る。「悩める友に同苦できる境涯にしていただきました」▼池田先生は「『苦労がない』ということは『勝利の原因がない』ということである」と強調する。人生も社会も、変化の連続。揺るぎない信念と哲学を持つ人は負けない。(代)