法悟空 内田健一郎 画 (6396)
山本伸一は、毎月の本部幹部会などの会合に出席するたびに、民衆の幸福を願われた日蓮大聖人の御精神や真実の仏法者の在り方などについて語っていった。
ある時は、喜劇王チャップリンの言葉を紹介し、「自由」のために戦う勇気の大切さを語り、ある時は、文豪ユゴーの『レ・ミゼラブル』を通して、「民衆よ強くなれ! 民衆よ賢くなれ! 民衆よ立て!」と呼びかけた。
さらに、御聖訓通りに難を受けるのは、学会の広宣流布の戦いが正しいことの証左であると訴えた。また、仏法の本義のうえから、広布に生き、御本尊を信じ、仏道を行じ抜いてきた人は、皆“仏”であることや、民衆のための宗教革命こそ正道であると力説した。あるいは、「『一人の幸福』に尽くしてこそ仏法である」「太陽の仏法は、全人類に平等である」「世界広布の大道は、どこまでも『御本尊根本』『御書根本』である」ことなどを確認してきた。
創価の同志が心を一つにして、日顕ら宗門による弾圧を、乗り越えていく力になったのが、一九八九年(平成元年)八月二十四日の第一回東京総会から始まった、衛星中継であった。それまで、電話回線を使っての音声中継は行われていたが、この時から、全国の主要会館の大画面に、映像も流れることになったのである。
伸一は、全同志と対話する思いで、仏法の法理に、日蓮大聖人の御指導に立ち返って、“何が正であり、何が邪なのか”“宗門事件の本質とは何か”“人間として、いかに生きるべきか”など、多次元から、明快に語っていった。共通の認識に立ってこそ、堅固な団結が生まれる。
衛星中継を通して同志は、深く、正しく、問題の真実と本質を知った。ただただ、広宣流布を願い、使命に生き抜こうとする伸一の思いを感じ取っていった。そして、“何があっても、腐敗した宗門の策略などに負けず、共々に広布に走り抜こう!”と、皆の心は、固く、強く、一つに結ばれたのである。