法悟空 内田健一郎 画 (6376)
ソ連の崩壊にともない、エリツィン率いるロシア共和国は、ロシア連邦となり、旧ソ連の国際的な諸権利等を継承するが、財政危機など、前途は多難であった。
また、東側陣営であった国々は自由を手に入れたが、ユーゴスラビアをはじめ、アゼルバイジャン、アルメニア、チェチェンなどで、民族・地域紛争が起こっていった。テロも激しさを増した。
さらに、世界のあちこちで民族、宗教、経済などをめぐって対立の溝は深まり、冷戦後は、局地的戦乱が広がりを見せていった。
平和への道は、険路である。だからこそ、断じて、その歩みをとどめてはならない。
山本伸一は、毎年の1・26「SGIの日」に発表する提言において、冷戦終結後の新しい世界秩序の構築へ、国連が中心となって平和的なシステム、ルールをつくり上げていくべきであることなどを、訴えていった。
とともに、新しき時代の地平を開くには、平和と民主と自由を希求してきた人びとの心を覆う、絶望を、シニシズム(冷笑主義)を、不信を拭い去らねばならない。
そのためには、開かれた心の対話の回路を、あらゆる次元でめぐらせていくことが必要となる。それは、時代の病理の対症療法ではなく、根本療法の次元の労作業といってよい。
伸一は、ゴルバチョフが大統領を辞任したあとも、幾度となく会談を重ねていった。
一九九三年(平成五年)四月にゴルバチョフ夫妻が来日した折、元大統領に創価大学から名誉博士の称号が、また、共に世界を駆けるライサ夫人には、創価女子短期大学から最高栄誉賞が贈られた。元大統領は、この日、大学の講堂で記念講演を行っている。
そして、九六年(同八年)には、ゴルバチョフと伸一の語らいをまとめた『二十世紀の精神の教訓』が発刊されたのである。
さらにゴルバチョフ夫妻は、九七年(同九年)十一月、関西創価学園にも訪れている。
友情は、永続性のなかで、より深く根を張り、より美しく開花する。