名字の言

〈名字の言〉 2017年11月6日

スポンサーリンク

ある企業のリーダー研修会で、講師が呼び掛けた。「ドイツ語で『かえるの合唱』を歌いましょう」▼きょとんとする参加者に、「大丈夫。やればできる!」と何度も促す。しばしの沈黙。そして講師がほほ笑んだ。「いくら励まされても、できないものはできないですよね。ドイツ語の歌詞を教えてもらったり、一緒に歌ってもらったりしないと」。すなわち、経験の浅い部下に何か新しいことに挑戦させようとしても、ただ励ますだけでは、多くは「自分には無理」と思ってしまう。具体的に教え、共に動くことにリーダーの役割がある――と▼学会活動にも通じる面があろう。初めての仏法対話に尻込みした経験は誰しもある。そんな時、「私はこう語ってきたわ」と、自分の体験を語ってくれたり、「僕の対話の場に同席してごらん」と、自らの姿で手本を示してくれたりした信心の先輩がいたはずだ▼御書に仰せである。「人がものを教えるというのは、車が重かったとしても油を塗ることによって回り、船を水に浮かべて進みやすくするように教えるのである」(1574ページ、通解)▼「励ます」とは相手を説得することではない。声に耳を傾け、一緒に悩み、「これなら私にもできる!」と勇気を持たせることだ。「共に」の精神に励ましの鍵がある。