名字の言

〈名字の言〉 2017年3月8日

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 桜の開花予想が発表された。どの週末が見頃か、卒業式や入学式に間に合うだろうか――あれこれ思いを巡らすのも楽しい▼例年に比べて開花が早いか遅いかは「休眠打破」の進み具合によるという。桜の花芽は、「寒気」にさらされることで休眠状態から目覚め、その後の気温上昇に伴って開花に向かう。冬知らずの常夏の地では、日本の桜も十分に咲かないそうだ▼「寒」の字には「寒い」の他に、「苦しい」「寂しい」「貧しい」という意味もある。できれば「寒」は避けたいのが人情。だが学会員を取材していて思う。人生の「寒」に遭って信心に目覚め、同志の温かさに気付き、「冬は必ず春となる」(御書1253ページ)の一節をかみしめたと言う人の何と多いことか▼東日本大震災から6年を前にして、新生・東北総会(本部幹部会)に参加した岩手の友が語った。「この地に生きなければ感じなかった苦しみがあり、半面、この地に生を受けなければ得られなかった喜びがあります。東北に生を受けたことが最高の誇りです」▼「冬の嵐の真っ只中でこそ、『心の財』は無量無辺に積まれていく」と、池田先生は総会にメッセージを寄せた。今年の東北は平年より早く桜が咲くとの予想だ。「寒気」は「歓喜」の春のためにある。(之)