名字の言

〈名字の言〉 2018年12月2日  先日、友人が職場での研修の様子を語っていた。それは数人のグループで「自分以外の全員に対して“感謝”を伝える」という内容。

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先日、友人が職場での研修の様子を語っていた。それは数人のグループで「自分以外の全員に対して“感謝”を伝える」という内容。一人について1枚ずつメモに記していく。最後に一枚一枚、皆の前で読み上げられた▼といっても決して特別なものではない。「朝のあいさつが、すがすがしい」「あなたの笑顔にいつも癒やされます」「昨日、仕事を手伝ってくれて助かりました」「今の私があるのは、あなたの支えのおかげです」。読み上げられるたびに拍手が起こり、笑顔が広がる。その場は何ともいえない高揚感に包まれたという▼こうした“ささやかな感謝”は、思っていても、なかなか伝える機会がないもの。だが、言われて嫌な気持ちになる人はいないだろう。感謝するという行為は、相手の言葉や振る舞いを貴重なものと捉え、心の中で大切にしてきた証しであるからだ▼スイスの思想家ヒルティは言った。「この世の小さいものに注目せよ。それはわれわれの人生を、よりゆたかにし、より満ち足りたものにする」(秋山英夫訳)。振り返ってみれば、日々の中で“当たり前”のものなど何一つない▼一年を締めくくる師走。どんなにささいなことでも、感謝を言葉にして伝えたい。その心が家庭や職場を変え、人生を潤していく。(起)