名字の言

名字の言〉 2018年10月24日  舞台「リア王」に臨む日々を、主演の山﨑努さんが克明に記録した『俳優のノート』(文春文庫)。

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舞台「リア王」に臨む日々を、主演の山﨑努さんが克明に記録した『俳優のノート』(文春文庫)。演技に懸ける情熱や役作りの苦闘などが垣間見えて興味深い▼例えば台本の読み込みについて。「作品全体を理解すること。そのためには、自分の役を中心に読まないこと」「他の役を理解しなければ自分の役も理解出来ない」▼自分のせりふを覚えるだけでも大変な作業に違いない。だが、その“自分中心”の位置をいったん抜け出し、共演者の役柄をつかむ。そうして全体を俯瞰する中で、自分の役を捉え直し、表現を深めていくという▼自分を理解するために、他者を理解する――現実の生活にも通じる示唆がある。自分の考えだけに固執していると、おのずと世界が狭くなり、時に自分の進むべき方向を見失う場合がある▼対話の場においても、こちらの思いを伝えることは大切だが、まず相手の話をじっくりと聞きたい。その中で自身の視野は広がり、考えも深まっていく。人間は、人間の中で磨かれるのである▼広布の舞台においては、全員が「主役」である。「一人」に励ましを送り、かけがえのない個性が発揮されれば、励ます側の人間性も豊かになっていく。「11・18」へ、自他共に輝く人間革命のドラマをつづろう。(値)