先月、野球殿堂入りした阪神タイガースの金本知憲監督が、「一番の誇り」と語る日本記録がある。それは華々しい実績ではなく、1002打席連続で無併殺だったこと▼ヒットやホームランと違い、派手さもなければ、タイトルにも関係ない。だが彼は、成績や評価のためではなく、チームのため、どんな時も一生懸命に走り、塁に生きた。いわば、技術ではなく姿勢で生み出した記録だ。だからこそ「胸を張って自慢できる」と言う(『覚悟のすすめ』角川新書)▼「学会の世界は“奇跡の結晶”ですね!」。新入会の壮年が、そう語っていた。励ましの対話に歩き続ける人、会合の役員、会場の提供者、本紙の配達員……。学会には、見返りや称賛を求めず、生き生きと使命を全うする同志が、ここかしこにいる。その“無私の連帯”に感動し、壮年は入会した▼献身の労は目立たない。だが、「冥の照覧」(御書466ページ)の哲理を知る私たちには確信がある。地道に祈り、動き、広布に尽くした人こそが、確かな幸福境涯を築ける。それに比べ、名聞名利にとらわれた人生は、あまりにももろい▼うまずたゆまず、一心に友のため、社会のため、真剣に、誠実に尽くしていく。この気高き「庶民の行進」に連なる人生を、誇りに思う。