セ・パ両リーグの優勝が決まった今年のプロ野球も、いよいよ大詰め。上位3チームずつで争うクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズで栄冠を手にするのはどこか▼決戦への注目が集まる一方、この時期は連日、選手たちの現役引退のニュースが続く。特に今季は逸材ぞろいの「松坂世代」が次々とユニホームを脱ぐことに。その中に創価高校・創価大学出身のオリックス・小谷野栄一選手がいる▼2003年、日本ハムに入団して以来、勝負強い打撃と安定した守備で打点王やゴールデングラブ賞などを獲得。リーグ優勝にも貢献した。だが華やかに見えるプロ生活の大半は病やけがとの闘いでもあった▼飛躍が期待された入団4年目にはパニック障害を発症。一時は野球を諦めかけた。それを乗り越えられたのは周囲の支えがあったからだ。恩師、ライバル、チームメート、ファン、家族――ありがたさを再確認し、成長できたからこそ「病気になってよかった」と。引退会見で彼が何度も口にしたのは「感謝」「恩返し」との言葉だった▼苦労なくして栄冠なし。その栄光を開く力は感謝の心であろう。「感謝を忘れず、報恩に徹すれば、自ずから為すべき行動は定まる」と池田先生。誰かのために生きる。その一念から勝利は始まる。(仁)