「街はまだ/死んでェへんで/パンを焼く/ビフテキを焼く/珈琲を挽く」。阪神・淡路大震災の後に詠まれた短歌だ(『阪神大震災を詠む』朝日新聞社)。街が廃虚と化しても、そこで生きる人間は復興を決して諦めない――そんな心意気が伝わってくる▼震災の時、神戸市長田区の壮年は、父と営んでいた鉄工所と自宅を失った。街が焼ける中で、学会の会館は厳然と立っていた。“そうだ、自分には信心がある”。喪失感をぬぐい去り、壮年は信心で立ち上がると決めた▼震災当日から会館には多くの同志が集まった。皆、家を失っていた。それでも友の激励に奔走した。壮年も地域のために走った。震災後、壮年は鉄工所と自宅を再建。「どんな試練であっても、不屈の心ある限り、必ず未来は開けます」▼今回の豪雨災害でも、中国・四国などの各地で、自ら被災しながらも、激励に歩く友がいる。その友にエールを送る全国の同志がいる。広島・江田島の青年が語っていた。「皆さんのエールに前を向く勇気をもらっています。絶対に負けません」▼支え合う仲間がいれば、人は苦難に立ち向かうことができる。創価の連帯とは「励ましのネットワーク」だ。被災地で懸命に生きる一人一人と心を共に、明日へと歩みたい。(芯)